ニーナ・シモンに会いに。

このアルバムではないのだけど…

ビフォア三部作のうちで、映画として完成度が高いのは『ミッドナイト』だけど、僕にとって心奪われたエンディングは、『サンセット』かもしれない。
映画の中で、ニーナ・シモンの、『Just In Time』のパリでのライブバージョンがかかるのだけど、素晴らしい曲と歌詞の内容とがあいまって鳥肌が立ち、胸を鷲掴みにされた。
僕が持ってる Just In Time http://m.youtube.com/watch?v=RhqOHFUYtzI は、ニューヨークのVillage Gateでのライブバージョンだけど、間奏のピアノの珠玉の美しさとニーナ・シモンの奔放な歌声が忘れられない。
僕が学生の時、二丁目の『ぺんぺん草』のマスターのひろしさんが旅行に行く時にいつも、ひろしさんの代わりにボランティアで『ぺんぺん草』に入ることがよくあったのだけど、僕以外にはオープン当時からのお客さんの二人以外には入ることが許されなかった。
若い僕がなぜ許されたのかはわからないけれども、ひろしさん曰く、「お前だったら恐いから、誰が来ても大丈夫」ということだった…
その頃、バリ島なんかに1ヶ月近く旅行に行ってしまうひろしさんを懐かしく思うと、いつもお店でニーナ・シモンのアルバムを出しておいた。
他のアルバムはそうでもないのだけど、そのアルバムのニーナ・シモンは、坊主頭で、驚くほどひろしさんにそっくりだったのだ…。
ひろしさんがいないことを知らずに入って来てしまったお客さんにもそのアルバムを見せると、笑って一杯飲んで行ってくれたのを懐かしく思い出す。
そんなことを思い出しながら、久しぶりに『ぺんぺん草』を覗いた。
席に着くなり、「弱いのちょうだい!ニーナ・シモン!」と言ったら、ひろしさんが大笑いした。
「あのアルバム、いったいどこ行ったかしら…」なんて言いながら、昔のくだらない話を沢山した。

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