宇宙の真ん中。

くちこ

金沢に行くと、思いがけず面白いものに出会うことがある。
ギャラリー・トネリコでは、フェルトをきれいな色に染色して子どものらくがきのような形に自由にカットしてマフラーにして売っていたhttp://www2.spacelan.ne.jp/~tonellico/index2.html。
また、能登ならではの漆器にも触れ、もう15年以上も能登の漆器を使い続けているけど、日本の工芸品の形の美しさと軽さ、熱いものを入れても口をつけて味わうことが出来る用の美に感心する。http://www.kirimoto.net/
まだ訪れたことはないけど、『めくみhttp://tabelog.com/ishikawa/A1702/A170203/17000700/』という寿司屋さんは、毎朝、七尾という能登の端の町まで2時間くらい車を走らせ、石川県において毎日最上の魚を仕入れるために奮闘している。「毎日往復4時間って、変人だとしか思えない」と他の寿司屋さんは言っていた。
21世紀美術館では企画展をやっていてhttp://www.kanazawa21.jp/data_list.php?d=1621&g=19、島袋道浩という人の展示では、能登穴水の『くちこ』を作る人に注目をしていて、『くちこ』のことを初めて考えた。
『くちこ』は、『このこ』と同じで、なまこの卵巣を集めたもの。へらのように先が細くなっているのはそれを集めて水を切るために乾かした下の方だから。そして驚くことに、この一枚を作るのに、ナマコが100匹くらい使われるということ(だからあんなに高いんですね)。そんな『くちこ』を、日々冬の間手作業で作り続けている人に注目している。
新竪町通りという鄙びたアンティーク屋さんや雑貨屋さんが並ぶ通りがあって、その通りをぶらぶら歩くのが好きだ。能登の工芸品や、どこから集めて来たのかわからないような不思議なスノードームが売っていたりする。
この新竪町通りのお店などの人たちが企画して、『そらあるきhttp://www.soraaruki.com/』という小さな雑誌を広告収入なしで出しているのだけど、その小さな雑誌も、金沢に対する愛情がぎゅっと詰まっていて、毎回読むのが楽しみな雑誌だ。
東京にいると、時々ニューヨークやパリが世界の中心なのかもしれないと思うことがあるけど、金沢を旅していると、金沢のその店が、世界の、いや、宇宙の中心なのではないかとふと思うことがある。
正確に言うと、東京でもニューヨークでもパリでもなく、そんなことは考えもしないで、ここが宇宙の真ん中だと思って、今を慈しみ生きているような人に出会うことがある。
人生は旅であり 又 旅は人生である
21世紀美術館の『柿沢康二』の書に書いてあった松尾芭蕉の言葉。
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