一周年。

A5ザブトン

飲んだ後の『海鳴』のトンコツラーメン

大分に住む、28歳のKとつきあいだして、一年が経ったので、福岡(また!)で会うことに。
僕としては、福岡一のイタリアン、トラットリア・フィオーレの予約を済ませていたのだけど、Kは「お肉がいい!」と言うので、泣く泣く焼肉へ。(T ^ T)
牛の一頭買いを昔からしていて福岡の焼肉店では有名な『利花苑 大名本店』へ。
ビールのコマーシャルで知られるA5ザブトンは、『はねした』と言われ、脂肪が適度に入った肉。イチボ、カルビ、ハラミ、カイノミなど肉のオンパレード。
肉を焼きながらイキイキしている姿を見ていると、焼肉を食べている時が、Kにとっては一番幸せな時に違いないと思う。本当に単純だ。
僕は、「一年間僕とつきあって、Kはどうだった?」と聞いてみた。
Kは、「楽しかった。
Tさんにはたくさん与えてもらいました…でも、僕は、Tさんに何も与えていない気がして…」
(僕は内心、「大丈夫。若い生き血を一年間吸わせてもらったから…」と思ったけど言わずにいた。)
与えるでも、与えられでるもなく、お互いに思いやりがあったからこそ、なんとか一年間過ごすことが出来たのだと思う。
先のことはわからないけど、二人で焼肉屋で小さな乾杯をした。
★利花苑 大名本店http://s.tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40000443/?lid=header_restaurant_detail_review_list
★海鳴 http://s.tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40020958/

温かい人。

後輩のコピーライターと打ち合わせをしていたら、「私、最近、子どもに勉強を教えてるんです」と言う。
よくよく話を聞いてみると、蒲田の銭湯でよく会うおばさんがいて、何度か会って挨拶をするうちに、急に「Yちゃん、頭いい?」と聞かれ、「勉強ならできました」と答えると、「それならお願いがあるのだけど・・・」と。
おばさんは八百屋さんをやっていて、自分の息子の同級生に、お金がなくて塾に通えないような子どもがいるので、そんな子どもたちに、どうか勉強を教えてくれないだろうか?というお願いだったということ。
「それで、どんな感じなの?」と聞く僕に、Yは、「7人いて、おばさんの子どもの同級生なんだけど、母子家庭だったり、6人兄弟だったりで、それぞれに大変な家庭なんです。」
「猫もいるし、家の中はしっちゃかめっちゃかなんですけど、テストの前なんかは集中して勉強を教えに行ってるんです。みんないい子たちで、おばさん、その子たちと自分の3人の子どもと家族の分も含めて食事を作って、その食事が毎回本当に美味しいんです。アップルパイなんかも手作りしちゃうんです。」
けらけら笑って、子どもたちに勉強を教えているYもなかなかだと思うけど、世の中には、こんな八百屋のおばさんみたいな人がいるんですね。
そんな話を聞きながら、いつの間にか僕の胸の中まで、じんわりと温かくなりました。

エッグベーカーという幸せ。

僕の家に来て、エッグベーカーで作った目玉焼きを食べると、「私もこれ欲しい!」と言う人がいる。
目玉焼きをフライパンで美味しく作るのは、実は難しい。
下はカリッとして、白身は柔らかく、程よく黄身に火を通すには技術がいるからだ。
その点エッグベーカーは、一人分の目玉焼きも、簡単に、あっと言う間に美味しく出来る。
エッグベーカーにオリーブオイルか胡麻油を入れ、全体に行き渡らせ、玉子を割り入れ火にかけるだけ。4〜5分で火を止めて蓋をして1分くらい。
蓋を開けると、白身はあくまで柔らかく、黄身に程よく火が入っている。ほんの少し醤油を垂らしてスプーンですくって口に運ぶと、きっと驚くに違いない。
玉子って、こんなに濃厚で美味しいものなのかと。

イタリア煮浸し。

台風のせいで、蒸し暑い日が続いているけど、少しずつ秋の気配は深まって来ている。
寒くなって来ると、おでんもいいよなぁ…と思いながら、さっぱりとしたイタリア煮浸しを作った。
なぜイタリアなのかというと、トマトと絹厚揚げと万願寺とうがらしが、イタリアの赤、白、緑の国旗の色と同じだから。(勝手に僕がそう名づけただけなのですが…)
イタリアの国は、一つの大きな国というよりも、小さな別々の国の寄せ集めのような所がある。
この三種類の組み合わせも、驚くほどそれぞれが個性的に違った味わいをしている。そして、出汁が個性的な三種をつないでくれている。
★イタリア煮浸し
1.出汁600mlを温め、薄口醤油大さじ1、酒大さじ1、塩小さじ1/2を入れてかき混ぜる。
2.小さめのトマト5個の背に軽く十字か一字に包丁を入れ、沸騰したお湯に浸し、直ぐに引き上げ、粗熱が取れたら皮を剥く。ヘタをくり抜く。
3.万願寺とうがらしを、縦二つに割り、種とワタを取り出し、横に切る。
4.絹厚揚げ2個を食べやすい大きさに切り、すべてを熱い1の出汁汁の中に入れる。5〜6分そのまま煮て、火を止めて味を含ませる。
温めても美味しく、冷蔵庫で冷やしても美味しい。

ベニシアさんの四季の庭

園芸家であり、ハーブ研究家として知られているイギリス人のベニシアさんは、貴族でありながら、自分の周りの環境になぜかしっくりこなくて、若い頃インドへ向けて旅に出る。
シルクロードを経て、やがて日本に流れ着き、なんの因果かやがて京都で暮らしはじめる。
僕の大好きな三千院のある大原、春夏秋冬を通して写し出される山や川や田畑の美しさにただ見惚れてしまう。
そして、そんな大原の自然に寄り添うように暮らすベニシアさんの生活は、地に足が着いていて揺るぎがない。
この映画はベニシアさんの、ある種生々しい半生のドキュメンタリーであり、愛する家族や幸福な時も描いているけど、自分や愛する家族が、人生の荒波に揉まれ飲み込まれそうになる時さえも描いている。
ベニシアさんは、とても自分に正直な人で、なんとか自分の感じたこと、伝えたいことを、言葉に出して僕たちに伝えようとする。
彼女の人生の経験の中から口をついて出て来る言葉に、僕は何度も深く頷くばかりだった。
『何が起こったかということよりも、大切なことは、その時にどのように対処したのかということ』
玉のように恵まれたいいことだらけの完璧な人生などなく、様々な困難や思いがけない出来事があり、それを経験することによって、人生が丸く膨らむのかもしれない。
それにしても神様は、それぞれの人の全く違う人生をなんと巧妙に作ったのだろうか…。
★ベニシアさんの四季の庭 http://venetia.jp/

BOULE D’AMBRE

15年近く前になるだろうか?
パリ左岸を代表するインテリアデザイナーのカトリーヌ・メミが、外苑西通りのベイリーストックマンの向かいに東京で初のショップをオープンして、日本にパリ左岸のミニマリズムを知らしめた。
(パリの補足をすると、パリは、背骨や心臓とも思われるセーヌ河を挟んで、伝統的で保守的な右岸と革新的であり芸術的な左岸に分かれている。昔から左岸には芸術家が好んで住み、イヴ・サンローランのブランド名にも、イヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ(左岸)という風に、左岸であることの誇りが表してある)
彼女の作る無駄を削ぎ落とした家具や照明、リネンの類いも素敵だけど、そこで扱っていたアルチザン・パフュームのテラコッタのボールの香りに虜になってしまった。それは、今までの僕の人生で嗅いだことの無い甘く複雑な香りであり、心の奥深くに染み渡るような神秘的な香りだった。
そのAMBER BALLSとは、フランスの陶芸家によってひとつひとつテラコッタに手彫りの模様が施されたボール。中には固形香料がセラミックに染み込んでいるのだけど、そのアンバーの神秘的な香りは、古来より中国の瞑想に使われてきたという。
パリに行くたびに友達にお土産に買ってきたりしていたので(昔はよくパリに行った)、僕の家には3つ、アンバーボールが大きさ違いであって、居間やベッドサイドに置いてある。友人が訪れると、アンバーボールを手に持たせて匂いを嗅がせてその表情を見るのが好きだ。誰もがちょっと驚いて、『なにこれ?いい匂い!』と言うから。
時々眠れない夜には、ベッドサイドにあるその神秘的な香りをそっと嗅いでみることがある。甘く本能に訴えかけるような香りを嗅いでいると、高ぶる心はいつしか落ち着きを取り戻し、知らないうちに深い夢の中にゆっくりと沈んでゆく。
★L’artisan Parfumeur http://www.artisanparfumeur.jp/index.html

イタリア展。

スカンピ

久しぶりにのんびりと東京で過ごす日曜日、伊勢丹のイタリア展に行った。
今の時代、ほとんどどんな食材でもインターネットで買うことができるけど、イタリア展だけは、鼻息荒く乗り込んでしまう。
生ハム、チーズ、オリーブオイル…どれも自分の目で見て、匂いを嗅いだり、試食できるということは、僕にとっては重要なことだ。
この時期特有のフレッシュなポルチーニがあって、うまそうだなあ…どうやって食べようかな…などと思い巡らしたり、イタリアから空輸されているフイノッキオやアーティチョークなどを見ながら、どっぷりとイタリアに浸った…。
帰りがけ、スカンピが目に止まった。昔、10年間つきあった人は、このスカンピが大好物だったなぁ…なんて思いながら、無駄な情に流され思わずスカンピを買ってしまった…
家の冷凍庫に入っている少し変わった食材をここに書くと…
エスカルゴ。フォアグラ。マグレカナール(フォアグラを採取した後の鴨)。キャビア。ボッタルガ。ラム。イベリコ豚の各部位…(もちろん牛肉の切り落としや、タラコや、納豆や、サンマの干物も入っています)そこにスカンピが加わり、もう、いつ帰って来ても、家でスカンピが食べられる!笑
その後、新宿ピカデリーで、『ティファニーで朝食を』を鑑賞。オードリーがスクリーンで観られると聞いたら、やっぱり観たくなってしまった。
『ローマの休日』のオードリーは本当に綺麗だと思うけど、晩年、彼女は、世界の貧しい国々に自ら赴き様々な活動をしながら、更に輝くように美しくなっていったように思う。
オードリーは、銀幕の中で永遠に生き続けるのだろう。
★スクリーン・ビューティーズVol.1 オードリー・ヘプバーン『ティファニーで朝食を』『パリの恋人』『麗しのサブリナ』http://www.screenbeauties.com/audery_movies.html

銀木犀。

町を歩いていると、どこからともなく甘い香りがして、金木犀が咲く季節になったことを知る。
僕の住む熊野神社の周りには、金木犀と、なぜか銀木犀が何本か植わっていて、この時期思わず振り返り、香りを嗅いでみたくなる。
銀木犀の花は白く、一緒に匂いを嗅ぎ比べたわけではないけど、その花色ゆえに、金木犀よりも甘さが少なく、爽やかな香りに感じるから不思議だ。
日頃は気にも止められない木が、この時期一年分の力を使って道ゆく人の気を引こうとしている。
立ち止まって、今、そばにある平凡な幸福感とともに、甘い香りを思いきり吸い込み、胸の奥にしまっておこう。

Bridge 6周年パーティー。

昨夜は、僕のホームバーの一つBridgeの周年パーティーをお祝いに行った。
6年前の僕は、仕事も頂点を極める忙しさの中、合間をぬってBridgeに訪れていた。
やがて10年間つきあったパートナーとの別れがあり、入退院を繰り返していた父が亡くなり、真っ暗な宇宙にたった独りで放り出されたような時が訪れた。
仕事に打ち込むふりをしながら過ごす毎日の中で、2丁目のBridgeをはじめ、Tack’s Knotやぺんぺん草でマスターや友人たちに囲まれて馬鹿騒ぎをしたり、飲んでいる時だけが心休まる時間だった。
マスターやお客さんと一緒に旅行に行ったり、スタッフの誕生日だというと呼ばれてみんなでお祝いしたり、友人がしばらく店に来ないし連絡がないとみんなで心配したり、仕事を失った友人を気遣ったり、まるで放課後の部室のようにBridgeに集い、友人たちに囲まれているうちに、少しずつ僕の毎日も変わっていった。
ゲイである僕にとって、2丁目にある自分のホームバーという存在は、心の拠り所のようなものであり、そこに集う仲間たちとの繋がりは、家族のような温かさを感じる。
昨夜のパーティーは、バビ江のショウがあり、お客さんやスタッフのダンスがあり、マスターやスタッフの歌が繰り広げられた。
愛するBridgeの6周年を、仲間たちとお祝い出来て、とても幸せだった。
これからも、カウンターの隅でひっそりと、飲ませてくださいね。
6周年、おめでとう!
そして、6年間、ありがとう。

僕の夜食。

肉と野菜のさっと煮。

食事をしっかりしていないのに、飲みに突入してしまうような日がたまにある・・・。飲んで余分なカロリーは摂っているものの、家に帰ってもお腹が空いて眠れそうにない・・・
そんな夜はラーメン屋などに行かずに、家で簡単な夜食を摂るようにしている。うどんなども美味しいけど、炭水化物はなるべく避けてタンパク質を出来るだけ摂るように心がけている。
小腹が減っている程度ならば、ゆで卵が最強の夜食メニューだと言える。白身はこれ以上無いくらい良質なタンパク質だから。黄身の摂り過ぎを気にする人は、白身だけ多めに食べればいいと思う。
先日うれしいことに、このブログを見ている方から、美味しいものや食べ物のことをもっと書いて欲しいというリクエストをいただいた。酔って帰って来ても、速攻で簡単に作れる夜食を1品書いておきますね。
★肉と野菜のさっと煮
(お肉は牛肉、豚肉、鶏肉などなんでもよいが、火が通りやすい厚さがよい。薄切りの肉はすぐに解凍できて便利。野菜もなんでもよい。組み合わせとしては、牛肉×ネギ。豚肉×小松菜。鳥のささみ×水菜・・・などなんでもよい)
1.冷凍庫から出汁400mlを取り出し、鍋に開けて火をつける。そこに、薄口醤油大さじ1、みりん大さじ1、塩ひとつまみ(3本指で)を入れてかき混ぜておく。
2.お肉をひらひら一枚ずつ入れる。灰汁が出たらすくう。すぐに火が通るので、野菜も後を追うように入れる。あれば豆腐なども入れる。
3.器によそって、黒七味(これが重要。無ければ普通の七味)をかけていただく。
追記:
◎出汁は、週末に大量に引いて、400mlずつ小分けにして冷凍にしておくと使いやすい。
◎肉は火が通ると固くなるので、火が通るか通らないか、しゃぶしゃぶくらいでいただくと美味しい。
◎どうしてもがっつり食べたい時は、別の鍋にたっぷりのお湯を沸かし、冷凍うどんを茹で器にあげて、上記の肉野菜を出汁ごとかければ、美味しいうどんが出来上がる。