さようならという言葉。

前菜の盛り合わせ

甘鯛のスパゲティ

ボッリート・ミスト

7年間くらい一緒に仕事をしてくれたプロダクションのデザイナーの女の子が退職した。結婚ゆえの退職ではなく、違った仕事に転職したいためだと言う。新しい旅立ちを祝い、仕事場近くのイタリアンで一緒に食事をした。
人との出会いは不思議なもので、この世界で出会ったどんな人とでも、必ず別れる時が来るものだ。
7年間という永い期間、よく僕の、時間的にも拘束の多い仕事を支えてくれたなあという感謝の気持ちと、身近な人が、もう別の所へ行ってしまうというせつない気持ちが入り交じり、なんとも複雑な気持ちだった。
英語の『GOOD BYE』とは違って、日本語の『さようなら』には、様々な説があり、単に『左様ならば』の『ば』が省略された言葉だとする説と、『“さようなら”、と この国の人々が別れに際して口にのぼせる言葉は、もともと『そうならねばならぬのなら』という意味だとそのとき私は教えられた。(須賀敦子『遠い朝の本たち』)』それは、ある種の諦めを含んだ言い回しとする説もある。いずれにしても他の国に類を見ない、極めて日本的な表現であり、その響きとともに美しくもせつない言葉だと思う。
別れ際に彼女に、「どんな道に進もうと、幸せになってくださいね。」と言って別れたのだけど、言葉の後に、「そうならねばならぬのなら」という気持ちが残ったままだった。
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