ライフライン。

スマホがいつのまにか、ライフラインになってしまったようだ。電気、水道、ガス、スマホ・・・それは、生きるためになくてはならないもの。
日曜日にKと一緒に車で、映画「風立ちぬ」を観に行って、一度帰ってからバスで晩ご飯を食べに出かけたのだけど、レストランでKが、「急がせるから、ケイタイを家に忘れたみたい」と言っていた。
家に帰って、ケイタイを置いていた所を見ても見当たらず、なくしてしまったことに気づいた。K曰く、「パンツのポケットが浅いから、どこかで落としてしまったんだと思う」。
家からレストランまでの道程を思い返してみても、道で落としたかバスで落としたか、レストランかになるのだけど、時間が遅いのでバス会社もやっていないし、レストランも閉まってしまった。確認しようにも、明日の朝からしか出来ない。おまけにKは、確認する電話をかけるにも、家の電話は持っていなかった。
ケイタイをなくしてしまったことが分かって、Kは急に元気をなくした。
僕は、「明日出て来るよ。大丈夫。万が一なくしたって、また、新しいの買えばいいじゃん。ケイタイなんて大したものじゃないよ。」と言ったのだけど、そこのところも、Kの考えとは違っていたみたい・・・。
僕も、落とし物や、なくしものはあまりしないと思うのだけど、本当にたまに、驚くような物をあっさりとなくしてしまうことがある。
家の鍵はしょっちゅうどこかに行ってしまうし、ニューヨークの空港でチェックインしようとしたら、パスポートがなかった(なぜか、トランクの中のPLAY BILLの中に挟まっていた)とか。ソウルの空港でチェックインしようとしたら、しばらくパスポートを見ていないことに気づいた(ホテルのセキュリティーボックスに置いたままだった)とか。ニューヨークのBroadway Baresという巨大なパーティーにいざ入ろうとしたら、プレミアムチケットを自分だけ持っていないとに気づいて、みんなと一緒に道に落としたのではないかと真っ暗な中探し回った(結局ポケットに入っていた)こととか・・・。あれ?あんまり、たまにではないみたい・・・笑
Kは、僕と違って、ほとんどなくしものなどしないのだろう。だから、いざ、なくしものをした時に、ほとんど硬直して機能しなくなってしまう。
その日は、もうしょうがないから寝て、月曜の早朝に、僕が自分のアドレスを書き残し、バス停まで送ってもらって別れたのだけど、会社で会議をしていたら、非通知でKから電話が入った。「Tさん!ケイタイがやっぱりバスの中にありました!仕事が終わったら、取りに行って来ます!」
夕方、家に帰ったKからメッセージが届いた。「せっかく楽しい週末だったのに、昨日はごめんなさい」。
遠く離れた僕たちを、スマホがつないでいる。

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