クラウド アトラス

トム・ハンクス、ハル・ベリー、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント…予告編を観て、何となく話が分かっていたので行かずにいたが、仕事場でも、周りの人たちが話題にしているので、重い腰を上げて観に行ってみたら、とても充実した体験が出来た。
この映画を、言葉で説明することは、不可能だし、陳腐な行為かもしれないが、僕なりの解釈を書いてみようかと思う。
1. 1849年南太平洋諸島
2. 1936年スコットランド
3. 1973年サンフランシスコ
4. 2012年ロンドン
5. 2144年ソウル
6. 2321年ハワイ
それぞれ違う時代の、違う場所で起きているストーリーが、同時に展開されてゆく壮大な交響曲のような物語。
それぞれの時代の中で、同じキャストが恋人、友人、師匠と弟子、など、関係性は変化しながら、様々なストーリーを紡いでいく。
原作は、デイヴィッド・ミッチェムで、現代の最高傑作とまで言われているらしい。(本を読んだらきっと面白いと思うけど、誰が誰なのか、英語の名前が混乱しそう)
精神世界の本では、よく書かれているテーマだけど、敢えて言葉にしてみよう。
『人の命には、終わりなどない。
一緒に生きた様々な人との関わりや絆、罪や善行は、次の未来を形づくる。
命は何度でも転生を繰り返し、魂は少しずつ変化してゆく。
そしてそれは、時間軸で次に繋がっているのではなく、すべては同時に、パラレルに起こっている』
今までにない、とても新しいタイプの映画だと言える。映画として3時間の中に、6つの物語を同時進行で、しかもお互いに干渉し合いながら見事に定着させている所は、天才的だ。
そして、エンドロールは、驚きに満ちている。この人は、この人でもあったのか‼という、見落としていた役まで分からせてくれる。そして、何故だか、もう一度この映画を体験したいという誘惑に駆られる。
★クラウド アトラス http://html5.warnerbros.com/jp/cloudatlas/

TOKYO RAINBOW WEEK 2013

冬のような嵐の中、町の花水木の花が少しずつ大きくなり、ベランダのバラの蕾も、しっかりとその姿を現しはじめた。
先日、会社の僕の席のそばで、このブログにも何度も出て来ている僕の妹的存在Gと、打ち合わせしていた時に、「K(僕の恋人)が、この週末に東京に来るよ!」と告げると、
「僕もTさんの彼氏に会いたいです!」
と大声で叫んだので、血の気が引いた。
二人して、ヤバイ!と思って周りを見回したけど、あまり人がいなかったので、よかった〜と胸を撫で下ろして、席に戻ったらみんな女の子たちが普通に席に座っていた(女の子だから、座高が低くて見えなかったみたい…涙)
そのGをはじめ、様々な人たちによって企画されたTOKYO RAINBOW WEEK 2013は、ゴールデンウイークの期間に、セクシャルマイノリティーに関する様々なイベントや企画が東京で集まり、今年はじめて開催される。
気軽に参加出来る楽しそうなものから、じっくり話を聞くようなものまで、様々なイベントや企画があるので、ぜひホームページを覗いてみてください。
★TOKYO RAINBOW WEEK 2013 http://www.tokyorainbowweek.jp/
僕は今回、このロゴやポスター、ポストカードなどのデザインを手伝わさせていただいた。

花の命。

ジューンベリーが咲きはじめた

雨に打たれ、桜が散ってゆく。
花びらは、色を失い、葉が見え始めた。
家に木の花が欲しいけど、何がいいと思う?と聞かれることがある。つる薔薇で家を覆いたいと言われたり、枝垂桜を家でたわわに咲かせたいと言われたり…
でも、花の命は、長くて二週間と言われている。どんなに好きな花でも、二週間したら、花を散らし、見向きもされないような葉っぱだけの姿になる。
僕は、一年間の残りの350日を、花のない姿を眺めて暮らすより、一年中、美しい葉や幹を楽しむ方がいいのではないかと答える。
一年間を通して、美しい姿を見せる樹木をあげると、ジューンベリーなどどうだろうか?
ジューンベリーは、別名アメリカザイフリボク。桜が終わる頃に、桜より細く白い花を枝いっぱいに咲かせる。その後の芽だしの新緑も美しい。
やがて六月を迎える頃、赤い小さな実をつける。だから、ジューンベリー。甘酸っぱい実は鳥の大好物だ。
夏には、美しい葉を風に揺らせ、秋には黄金と思わせる紅葉があり、裸になった冬の株立ちの姿も、自分一人だけで、森を感じさせるような野趣に溢れている。
桜が終わる今頃、僕のベランダでも、桜に似た白い花が一斉に咲きはじめた。風に揺れているその姿は、桜のように退廃的ではないものの、清楚な美しさを秘めている。
一年のうちに、炎のように胸を焦がす二週間限りの恋愛もいいけど、一年を通じて飽きずにいつもそばにいられるような、そんな恋愛もいいと思う。今は。

山と海が出遭う。

竹の子とヤリイカの木の芽和え

父は、酒飲みだった。
何か料理を作っては、よく日本酒を飲んでいた。
ナマコ、つぶ貝、サザエ、アワビ、タコ、イカ、シャコ、エビ、鯛の子、フグ、さまざまな魚…
小さい時の僕は、不思議な海の食べ物よりも、どちらかというと肉が好きだった。
でも年をとって、父に似てきたと思うことの一つは食べもので、父が食べていたものを、今は僕が好んで食べている。
和食は、海からもらった旨味を元に、季節ごとの山の恵みを組み合わせることで、さらに味に奥行きを感じさせてくれる。
和えものは、世界に誇る日本の文化だと思う。
それぞれ別の世界に住んでいたのに、いったい誰が最初に、竹の子とイカを合わせたのだろうか?歯ごたえと味の違いを、木の芽は、懐深く結びつけてくれる。
日本酒をちびちび飲みつつ、五年前に亡くなった父のことを思い浮かべながら、晩ごはんの支度をした。
酒飲みになってしまったのも、父のせいに違いない。