朝食、昼食、そして夕食

スペインには、巡礼の道の最後に、サンティアゴ・デ・コンポステーラという町がある。僕もいつか行ってみたいと思っている、ポルトガルの北に位置する聖ヤコブの町。その町で繰り広げられる、たった一日の話なのだけど、小さな町の様々な場所で、色々な人たちが食事をするシーンが紡ぎ出す群像劇。
何も知らずに、スペイン料理を見れるのだと思って観に行ったのだけど、最初は、ドキュメンタリーのように何気ない風景が、朝食があり、昼食があり、夕食へと展開して行くうちに、次第に、それぞれの人生のある重要なポイントのように見えて来て、それらがやがて重なり合い、交響曲のように響き始める。
監督が追求したのは、それぞれのシーンのリアリティなのだろう。一番驚いたのは、ゲイのカップルの話。弟がゲイなのだけど、ストレートのお兄さんに、カミングアウトしていないまま、お兄さんを新居の夕食に招くのだけど、もう、僕はドキドキしっぱなしだった。脚本がとてもよく出来ているし、役者の演技も素晴らしい。僕は思わずこの短い話の中で、涙が出てしまった。
表向きは円満に見える家庭、若い女と熟年男性のカップル、ゲイのカップル、老夫婦、繁盛しているレストランの姉妹、彼女のために毎食一生懸命食事を用意する男、朝から飲んでばかりいる男友達、町でギターを弾いて暮らしている男、ジプシーのような男・・・それぞれの人生が、食事をするという行為によって解放され、また次に繋がってゆく。
久しぶりに、よく出来た群像劇を観ることが出来た。それにしても、スペイン料理のなんと魅惑的なことか!来年辺り、久しぶりにヨーロッパに行けたらいいなあ。。。
★朝食、昼食、そして夕食 http://www.action-inc.co.jp/comidas/

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