ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの

前作の『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』という映画が、本当に素晴らしいドキュメンタリーだったので、今朝は、77歳のドロシーが来日しているというので、10時からの回を観賞した。
ハーブは郵便局員、ドロシーは図書館司書。ふたりはアートに惹かれ、ドロシーの給料で質素な生活をやりくりしながら、ハーブの給料で、現代美術を一つ一つ買い求めはじめる。
作品はすべて、自分たちのアパートの中に所構わず並べ、ベッドの下にも積み重ねられ、集められていった。
それが、今では何千点を越えるコレクションになり、意を決してワシントンのナショナルギャラリーに寄贈することになる。
2000を越える作品は、なかなかすべてを展示することが出来ずにいた。その後、作品は増え続け、やがて4000点にもなってしまった作品を、50作品づつ、アメリカの50の州のそれぞれの美術館に寄贈することになる。映画は、50作品✖50州のドキュメンタリー。
映画の後、監督とドロシーが出て来て、会場では質疑応答が。ドロシーは、本当にかわいくて、「桜の咲く頃に、日本に来れて、本当に幸せでした。日本に来て、一番美味しかったものは、上野の国立美術館の前で、吉野家の牛丼を食べたこと」と嬉しそうに言っていた。
この映画には、『giving back』という言葉が何度も出てくる。
自分が手に入れたものを、社会にもう一度還元するということ。
彼らは狭いアパートで慎ましく暮らしながら、財産をほとんどつぎ込んで集めたアート作品を、すべてナショナルギャラリーに寄贈するのだ。
彼らは子どもがいなくて、ふたりで、共通の趣味であるアートを集めることで、毎日の暮らしを膨らませ、長い年月をかけて愛を育んで来たのだろう。
ハーブとドロシーは、ニコニコと笑いながら教えてくれているのかもしれない。
この地球上では、誰であろうと、どんなものであれ所有することなど出来ないのだ。それならば、分かち合うというのは、どうだろうかと。
機会があれば、ぜひ前作の『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』をご覧になって欲しい。素晴らしいドキュメンタリーです。現在、東京都写真美術館ホールでやっていました。http://syabi.com/contents/exhibition/movie-1879.html
★ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの
http://herbanddorothy.com/jp/

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