身近な人が、親を亡くした時に。

親を亡くすということは、本人でなければ分からないけど、とても大きな喪失感を味わうものだと思う。
周囲の人はほとんど、踏み込まないようにと気を遣い、お決まりの挨拶を述べて、その後は腫れ物に触れるように、少し距離をおくようにする。
僕の父は、五年前に亡くなったのだけど、僕はその告別式の日に、10年間つきあっていたパートナーとも別れた。
忌引を終えて、会社に行くと、会社の上司Oから、手書きの手紙がポツンと机の上に置いてあった。その手紙が、温かく、僕にはとても励ましになった。
僕も、この上司Oのように、親しい人の辛い時に、できればその人に寄り添うことの出来る人間でありたいと思った。
先日、僕の長い間そばにいた別の上司で、僕にとっては兄のような存在Fのお父様がお亡くなりになった。葬儀もすべて終わらせてからの発表で、お金もお花も受けつけないという文面だったのだけど、サダハルアオキのフルーツケーキと、手紙を添えて、今朝、一番で席に行き、お渡しすることが出来た。
Fは、はじめ、久しぶりに会う僕に少し驚いていたけれども、すぐにうれしい返信が帰ってきた。
上司Oからいただいた手紙は、ここでは控えるけれども、自分の書いた手紙をここに。
会社の上司に、こんな文章なんて‼と驚かれるかもしれないけど、僕は、どんな場合であれ、文章は、難しい漢字や言葉で書くよりも、平易な言葉を心がけている。
Fさんへ
お父様が他界されたことを知りました。ご病気だったのか、急なことかわかりませんが、たいへんでしたね。
親を喪うということは、たとえいくつになっても、大きな喪失感だと思います。
僕が父を亡くした時に、同時に長くつきあっていたパートナーも失って、僕にとってはとても苦しい時に、Fさんにいつも見守っていただいていたことを覚えています。
あの頃は、自分の影を失ったようで、毎日が重力を感じないような不思議な気分でした。
Fさんのことだから、きっとお父様との絆も深かったでしょうし、お父様もきっと、やさしい方だったと想像出来ます。
そして、Fさんのことだから、周りには心配をかけないように、今日も平然と仕事をこなしているのだろうと思います。
どうか、時間をかけて、ゆっくりと、やさしいFさんに戻って来てください。
KIのお母様が亡くなった時に、Fさんが、「親を亡くしてからでも、親孝行は出来るから」とおっしゃったと、KIから聞きました。とても、深い言葉だと思いました。
僕は、未だに親不孝者ですが、いつか、なんとか、親孝行が出来れば…と思っています。
Fさんにとっても、僕はいつも不肖者でしたが、いい仕事をすることが、僕に出来るFさんへの唯一の恩返しだと信じて、これからも頑張ります。
T

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