二郎は鮨の夢を見る

すべての人にすすめることが出来ると思う映画は、1年に何本もないけど、「二郎は鮨の夢を見る」は、僕の周りのすべての人にぜひ観て欲しいと思う珍しいドキュメンタリー映画だ。
「すきやばし次郎」はミシュランで6年連続三ツ星を獲得している寿司店。87歳の大将、二郎は、ミシュランの最高齢三ツ星シェフとしてギネスにも登録されている。そんなすきやばし次郎の大将を追ったドキュメンタリーは、アメリカ人の監督により製作され、昨年数々の賞を総なめにした。
映画は、二郎の変わらない日々を丁寧に追ったドキュメンタリーだけれども、二郎を取り囲む人々をも映すことによって、二郎の人生全体が見えてくるようになっている。
一番大きなテーマは、二郎と二郎の二人の息子たちの関係だろう。この映画の監督自身のお父さんが、メトロポリタン・オペラの総師であるためか、偉大な父を持つ子どもたちの生き方にも焦点が当てられている。
また、お米屋さんや、築地市場のマグロ業者、海老専門、たこ専門の人にまで迫って行き、普段は目にする事も出来ないような、築地市場の中のマグロの競りの臨場感までカメラに捉えられ、巧妙に編集されている。
そしてなによりも、二郎を毎日、影になり支える弟子たちの、職人ならではの下ごしらえに明け暮れる毎日も忘れる事は出来ない。彼らは10年間下積み生活を強いられ、その後に、やっと卵焼きを焼かせてもらえるようになるという。
この映画を観ることは、日本が誇る偉大な寿司職人の生きざまを知るということであり、それと同時に、自分の今までの生き方を省みて、これからいったいどうやって生きてゆくのかと、改めて自分自身に問い直すことにもなるかもしれない。
★「二郎は鮨の夢を見る」http://jiro-movie.com/

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