愛、アムール

「愛」をテーマに扱った映画は、あまたあるけれど、
ここにまた、新たに「愛」を描いた恐ろしい作品が生まれた。
今日は、友人Mに誘われて、アカデミー作品賞、監督賞、
主演女優賞、脚本賞、外国語映画賞などにノミネートされている
ミヒャエル・ハネケ監督による、「愛、アムール」を試写会で観た。
80歳を超えた音楽家の夫婦が暮らすパリの瀟酒なアパルトマン。
人生の幸福も苦渋もともに味わい、乗り越えて来たふたりは、
老齢にさしかかり、目の前にまた新たな困難が立ちはだかる。
ミヒャエル・ハネケの作品は、
はっきりとした社会性のあるテーマを持ち、
観た後にとても重たい何かを残す。
観た人はそれを容易に流すことができず、
後々まで映画のことを頭の中で思いめぐらす。
感傷をいっさい省いたハネケの演出は、冷徹であるけれど見事だ。
ジョルジュ役のジャン=ルイ・トランティニャンの献身的な愛を、
息を呑みながらひたすら見守ることしか出来なかった。
年老いたアンヌ役のエマニュエル・リヴァの、
こちらをじっと覗き込むような瞳に、何度も目頭が熱くなった。
なぜなら彼らは、
僕の母であり、僕の恋人であり、将来の僕であったからだ。
カンヌ映画祭 パルムドール、ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞
★「愛、アムール http://ai-movie.jp/」3月9日(土)〜全国ロードショー

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